2010年9月 のアーカイブ

長岡アジア映画祭と長岡音声アシストの会

長岡音声アシストの会の皆さん

 

新潟県長岡市で年に一度、一週間にわたって行われている、長岡アジア映画祭。今年で15回を迎えるこの映画祭では、7年前から毎回1作品、音声ガイドつきでの上映を行っています。今年の作品は9月11日に上映した『あぜみちジャンピンッ!』。音声ガイド担当は、長岡音声アシストの会の方々です。「私自身は音声ガイドの知識が全くなかったのですが、皆さんの活動を知って、是非、アジア映画祭でもバリアフリー上映をしたいとお願いしました」と、映画祭実行委員長の菅野さんは言います。

長岡音声アシストの会がスタートしたのは、やはり7年前の2003年。ある視覚障がい者の方からの「音声ガイドで映画を観たい」という声がきっかけでした。当時、録音図書のボランティアをしていたグループに「やってみませんか?」と声がかかり、その中の有志が「面白そう」と挑戦してみることにしたのです。最初の作品は『折り梅』、養護学校の父兄が主催するバリアフリー上映会で発表しました。以来、代表の前田久美子さんを中心に、試行錯誤を重ねながら活動を続け、現在では8人のメンバーで年4回の音声ガイドつき上映を行っています。ここ数年は、バリアフリー上映会とアジア映画祭の他に、地元のシネコンからも音声ガイドの依頼を受けるようになりました。

 

上映中、ライブで音声ガイドを読むボランティアさん

 

「『マリと子犬の物語』がシネコンで公開されたとき、視覚障がい者の方々から希望が強くあがって、急きょ私たちが音声ガイドをつけることになったんですね。地元の新潟中越地震での実話を元にした作品なので、関心が高かったのだと思います。突然のことで、準備する時間もなかったので、ぶっつけ本番で臨みました」。当日は、とにかく見たままをしゃべったという前田さん。「充分なガイドはできなかったかもしれませんが、何もないよりはましですよね。視覚障がい者の方に少しでも映画を楽しんでいただければ、と考えて、度胸を決めました」と笑います。

今回の『あぜみちジャンピンッ!』も、偶然にも新潟を舞台にした映画ですが、音声ガイドは事前にじっくり練り上げました。まずは前田さんが2週間ほどかけて、叩き台となるガイド原稿を作ります。
次にメンバーで読み合わせしながら「ここの表現は変えたほうが……」などと話し合って調整します。本番では、会場の楽屋においたモニターをみながら、若手メンバーの斉藤さんと波多さんが交代で、完成原稿を読んでいきます。マイクを通して会場にガイドが届き、視覚障がい者の方はラジオでそれを聴く仕組みです。

また、この作品では、主人公の女の子に聴覚障がいがあるため、手話で会話する場面がよく出てきます。そのたびにガイドで「手話での会話」と説明するとしつこく感じるので、途中からは手話シーンの字幕を音声ガイドとはトーンを変えて読むことで「手話」とわからせるよう工夫しました。

 

音声ガイドの台本を読むナレーター

 

上映終了後、ラジオを返却にきた、ひとりひとりに「どうでしたか?」と尋ねる前田さん。「よくわかった」「ちょっと速かった」など、それぞれの感想をしっかりと受け止め、次回の上映に生かします。

「毎回、できるだけ多くの方に、音声ガイドを体験していただきたいと思っています。視覚障がい者の方はもちろんですが、晴眼者の方にもこういう映画の楽しみ方があることを知って欲しいので、積
極的にラジオを貸し出しています。こうして音声ガイドの活動を次の世代に、自然にうまく繋げていけると嬉しいですね」

(レポーター:こめたに)